小児アレルギー

食べ物がきっかけとなり、じんましんなどの症状がみられるとき、食物アレルギーの可能性があります。症状は、じんましん（皮膚症状）以外にも、腹痛、嘔吐・吐き気（消化器症状）、咳、喘息、チアノーゼ（呼吸器症状）、などがみられることもあります。人によってはアナフィラキシー・ショック（血圧が低下、呼吸困難に陥って、生命に影響することもある危険な状態）が起こることもあります。

アレルギーの原因となる食物としては、牛乳やチーズなどの乳製品、卵、小麦、そば、甲殻類（エビ、カニ など）、ナッツ類、果物、魚類（サバ、サケ 等） など、数えられないほどたくさんあります。年齢によって原因となる食物は少し変わります。乳幼児では、卵・小麦・乳製品が、大多数を占めます。

食物アレルギーが疑われる場合、診断をつけるための検査として「食物経口負荷試験」があります。これはアレルギーの原因と思われる食品を少し食べてみて、症状が出ないか確認する試験のことを言います。もちろん、症状が出る可能性があるため、注意して行うことが大切です。その検査や方針について、詳しくは当クリニックでご説明いたします。

なお、アナフィラキシー・ショックを起こす可能性が高いとわかれば、アドレナリン自己注射薬（エピペン）を持っておくことをおすすめいたします。近年、食物アレルギーや、アナフィラキシー・ショックに対する理解を深めてもらうよう、学校や園（幼稚園・保育園）などで、医療従事者が説明をする機会も増えてきました。

このほか、除去している食物を少しずつ食べるという「経口免疫療法」もあります。症状が出る可能性が高く、注意が必要です。どういうときに行う治療方法なのか、希望がございましたら、お気軽にご相談ください。

息をするのがしんどい、ヒューヒュー音が聞こえる。こういうとき、気管支喘息の可能性があります。空気の通り道である気管支が狭くなることで、咳や喘鳴（ヒューヒュー、ゼーゼーといった苦しそうな音）の症状が出ます。ひどくなると、息苦しい、寝られない、ということも多いです。こういうとき、「気管支喘息発作が出ている」と言います。

気管支喘息発作に対する治療には、吸入治療があります。吸入薬の中には、狭くなった気管支を広げるための薬（気管支拡張薬）などが入っています。そのほか、痰（たん）を切れやすくする飲み薬（去痰薬）もよく使われています。

気管支喘息は、発作が出るととてもしんどいことから、発作を起こさないようにする治療が大切です。その代表は、ステロイドの吸入です。ステロイドは、狭くなった気管支に起こっている炎症を抑えることができます。

ステロイドは、その使い方や種類がたくさんあり、きちんと管理していくことが大切です。そのほか、抗アレルギー薬の内服、など、検査や治療について、詳しくは当クリニックでご説明いたします。お気軽にご相談ください。

また、呼吸の状態によっては、酸素投与が必要になったり、点滴が必要になったりします。入院治療が必要となる可能性も高い疾患です。状況によっては、二次医療機関へ紹介させていただくこともあります。（提携している医療機関は、初めての方へ・診療予約のご案内のページをご覧ください）

かゆみの強い湿疹が発生し、良くなったり悪くなったりを長い期間繰り返している状態をアトピー性皮膚炎と言います。たとえば、赤ちゃんは、皮膚がかゆくなると、爪を立ててひっかくようになります。これが一層皮膚の状態を悪化させることにつながります。

アトピー性皮膚炎は、生後2～3か月ごろから発症することがあります。どうしてアトピー性皮膚炎を起こすのか。その原因として、環境因子（たとえば、カーペットにいるダニ、汗など）や、遺伝（アレルギーを発症しやすい体質）が関係している、と言われています。

皮膚の症状は、年齢によって異なります。乳児期は赤く湿り気のある湿疹が、頭や顔、手足のしわの部分でみられやすいです。1歳を過ぎると、首や手足のしわの部分が黒ずんでカサカサするようになります（苔癬化）。

アトピー性皮膚炎は、ほかの皮膚の病気と間違いやすいことも多いですし、合併することもあります。たとえば、皮膚を掻きむしってしまうと伝染性膿痂疹（とびひ）、水いぼ（伝染性軟属腫）、カポシ水痘様発疹症、などの病気を併発することもあります。抗生剤を使用するなど、別の治療が必要になることがあります。

アトピー性皮膚炎では、血液検査でアレルギーの原因や皮膚の状態を調べることがあります。

アトピー性皮膚炎に対する治療の基本は、スキンケア（肌を清潔に保つ、保湿剤を使用する）です。これはとても大切です。そのほか、皮膚の症状によって、ステロイドの外用薬（軟膏）を使用することが多いです。

ミルクや母乳を飲んだ赤ちゃん（新生児や乳児で多い）が、嘔吐や血便（消化器症状）を起こす状態です。症状が重い場合は、点滴・入院が必要となることもあります。

治療は、原因となるミルクや母乳などを除去することです。ただし、除去している間の栄養をどのようにとればよいのか、など、難しい点も多いです。詳しくは、当クリニックでご相談ください。

小学校高学年から高校生くらいまでの世代でみられやすいとされる食物アレルギーのひとつです。一般的な食物アレルギーは、即時型症状を起こすこと（たとえば、食べるとじんましんがすぐに出てくること）が特徴ですが、食物依存性運動誘発アナフィラキシーは違います。食物依存性運動誘発アナフィラキシーでは、原因となる食物を食べてから2～3時間以内に運動をすることがきっかけとなります。「食べる」と「運動する」の2つがスイッチとなり、症状（アナフィラキシー・ショック）を起こします。

原因となる食物は、小麦やエビやカニなどの甲殻類が多いと言われます。

アナフィラキシー・ショックという危険な症状を起こす可能性があるため、注意が必要です。管理が必要ですので、かかりつけ医に相談されることをおすすめします。

アレルギー性鼻炎は、ハウスダスト、ダニやホコリ、花粉（スギ、ヒノキ）などがアレルギーの原因となり、鼻水・鼻づまり、くしゃみなどの症状をおこすものを言います。アレルギー性結膜炎は、目が充血するほか、かゆみや目の中に異物が入っているかのような感覚などの症状を起こします。花粉が原因となって発症することが多く、テレビやコマーシャルでもよく宣伝されていることから、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

上記のような症状がある場合、必要に応じて、アレルギーを調べる血液検査などを行います。原因がはっきりすれば、回避するための行動（マスク、メガネ、など）で対策を取りやすくなります。

アレルギー性鼻炎の治療には、内服薬として抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬などがあります。また、鼻づまりの症状が強いとき、ステロイド系の点鼻薬がよく効きます。アレルギー性結膜炎に対しても、抗アレルギー薬の点眼薬で治療することが多いです。

近年、アレルギー性鼻炎などによる症状をできるだけ出にくくする免疫療法（減感作療法）が出てきました。これは、少しずつアレルギーとなる原因物質を体内に取り込み、徐々にその量を増やしていくことによって、だんだん体を慣れさせていく治療です。詳細につきましては、お気軽にお問い合わせください。