予防接種とは
予防接種(ワクチン)を行うことで、細菌やウイルスによる感染症にかかりにくくなります。すなわち、発症を防げたり、発症したとしても重症化を防げたりします。
0歳児の赤ちゃんは、接種するワクチンが非常に多いです。かぜもひきやすいため、赤ちゃんが元気な時に、ワクチンを同時接種していくことをおすすめします。そのためには、スケジュールをよく考えて、効率よく接種していくことが大切です。
予防接種のスケジュールについては、当クリニックでぜひご相談ください。
※ 予防接種も、診察予約と同じように、ホームページからご予約できます。
※ お子様のこれまでのワクチン接種歴を当クリニックの予約ページで入力できます。これにより、適切なタイミングで接種可能なワクチンの案内がメールで届きます。接種歴は自動で更新されていきます。たいへん便利です。詳しくは、当クリニックでご相談ください。
予防接種スケジュール
0歳の予防接種
1歳からの予防接種
MR(麻しん風しん混合)ワクチン
水ぼうそうワクチン
おたふくかぜワクチン
日本脳炎ワクチン
日本脳炎ワクチン
※当クリニックでは、B型肝炎ワクチンの3回目と日本脳炎ワクチンの1回目の同時接種を推奨します
生後6ヵ月以降・毎秋の予防接種
インフルエンザワクチン
三種混合ワクチン
(百日咳感染予防)
のおすすめ
当クリニックでは、三種混合ワクチンの追加接種(任意接種:有料)をおすすめしています。
その理由は、「百日咳を防ぐため」です。
以下のページでは、「なぜ追加接種で百日咳を防ぐ必要があるのか」「お金を払ってまで接種する価値があるのか」を紹介しています。
少し難しい内容かもしれません。でも、ぜひ読んでいただきたい内容です。
もし悩まれたら、クリニックに一度相談に起こしください。説明させていただきます。
追加接種で百日咳を防ぐ
1.百日咳ってなに?
百日咳は、百日咳菌にかかることで発症します。激しい咳が続く病気です。とくに、1歳未満の子どもがかかってしまうと、痰が多くて呼吸しにくくなったり、呼吸が止まってしまったり(無呼吸)します。こわい病気です。そのため、百日咳に対する予防接種がワクチンのスケジュールに組み込まれています。でも、実は、日本の今のスケジュールだと、百日咳を防ぎきれないのです。それはなぜでしょうか。以下、説明します。
2.なぜ追加接種で百日咳を防ぐ必要があるの?
日本では、生後2か月から予防接種が始まります。たくさん接種しますよね。ほぼ1か月ごとに予防接種の予定が組まれることも多いです。「たくさん接種しているし、もう十分でしょ!?」と思われるのもよく分かります。
百日咳に対するワクチンは、生後3か月から始まる「四種混合ワクチン」に含まれています。0歳で3回、1歳で1回接種します。合計4回です。
それなのに、百日咳は、実はひそかに流行しています。その原因は、多くのサイトでも紹介されています。簡単にいうと、「ワクチンの効果が切れて、知らない間にかかってしまうから」です。
生後すぐの赤ちゃんは、ワクチン接種前なので、百日咳にかかりやすいです。その後、四種混合ワクチンを接種しますので、1歳までに百日咳に対する抗体(百日咳にかからないようにしてくれるもの)は非常に高くなります。しかし、しだいに抗体は減ってしまい、5歳ごろに最も低くなります。
ところが、不思議なことに、その後、抗体は少しずつ上昇していくのです。
どうして、ワクチンを接種していないのに抗体が上昇するのでしょうか。その答えは、「百日咳に知らない間にかかってしまっているから」なのです。
3.どこで百日咳にかかるの?
「どこで百日咳にかかるの?百日咳がはやっているってどこからも聞いたことないけれど?」そうですよね。でも、調べきれていないだけなのです。百日咳を診断するのは、インフルエンザやRSウイルスのように簡単ではありません。咳が続いている人の中には、百日咳に感染している方がおられる。そして、知らない間に人から人に感染している、ということなのです。
百日咳にかかってしまった生後6か月の赤ちゃんの状況を調べた報告があります。赤ちゃんは誰から百日咳をもらったのか、についても調べられていました。その答えは「(赤ちゃんは)兄、姉、両親から(百日咳に感染していた)」との結果でした。
どういうことでしょうか。
つまり、ワクチンの効果が切れる5-6歳の兄や姉が、知らない間に百日咳にかかってしまっている。もしくは、40代で知らない間に百日咳にかかってしまっている、ということが予想されるのです。
2019年に届け出があった百日咳に感染した患者の年齢分布は、5-15歳で、全体の81%を占めていました。また、40-46歳ごろにも小さなピークが見られています。
5歳から15歳、また、40歳ごろ、という世代は、生後間もない赤ちゃんに接触する可能性の高い世代です。赤ちゃんに百日咳をうつさないためにも、5-6歳のころに、百日咳のワクチンを追加するのが良い、と言われているのです。
4. 日本と世界のワクチン接種の違い
日本では、0歳代の忙しいワクチンスケジュールを考えると、「もうワクチンは十分でしょ?」と思われるかもしれません。でも世界と比べると、日本は、まだまだ遅れているのです。
わたしが医師になった頃は、四種混合ワクチンではなく三種混合ワクチンでした。ポリオが加わって、四種になったのです。このように、混合ワクチンが普及すると良いのですが世界ではもう五種とか六種とかになっています。
たとえば、アメリカでは百日咳のワクチンを、5歳の頃、12歳の頃、に追加接種しているのです。
参考サイト
5.本音は、「百日咳ワクチンを早く定期接種に入れてほしい」
百日咳に対するワクチンを追加接種すべき、という問題。実は、あちこちで言われています。
たとえば、日本小児科学会は、三種混合ワクチンを5−6歳、11-12歳に任意で追加接種することを推奨しています。現在、11-12歳では、二種混合ワクチン (DT) が定期接種になっています。でも、二種混合ワクチンは、百日咳が入っていないのです。
また、ワクチンの情報を提供してくれている「KNOW VPD!」のサイトでも、百日咳のこと、三種混合ワクチンのこと、を説明されています。
参考サイト
自治体によっては、三種混合ワクチンの接種をすすめようと、助成がある地域もあります。たとえば大阪府では、阪南市と河南町です。
河南町:
早く「三種混合ワクチンを5−6歳、11−12歳、で、定期接種にしてほしい」と思っています。
6.三種混合ワクチンを接種しましょう
百日咳だけに対するワクチンはありません。三種混合ワクチンには、百日咳に対するワクチンが含まれています。四種混合ワクチンからポリオを除いたワクチンです。もちろん、四種混合ワクチンにも百日咳に対するワクチンが含まれていますが、四種混合ワクチンは4回までと決まっています(0-1歳で4回接種しているとそれ以上接種できません)。それに高価です。なので、三種混合ワクチンを接種するのがおすすめです。
まずは、5-6歳(幼稚園年長のころ)に、三種混合ワクチンを接種して、百日咳を防ぎましょう。そして、もし良ければ、12歳の頃に接種する二種混合ワクチン (DT) を三種混合ワクチンに変更するのがベストです。
四種混合ワクチン (DPT-IPV) に含まれているもの | D(ジフテリア)、 P(百日咳)、 T(破傷風)、 IPV(ポリオ) |
---|---|
三種混合ワクチン (DPT) に含まれているもの | D(ジフテリア)、 P(百日咳)、 T(破傷風) |
二種混合ワクチン (DT) に含まれているもの | D(ジフテリア)、 T(破傷風) |